果樹栽培・ガーデニングの基本

カリンの育て方・栽培方法

バラ科

緑起物として庭木や盆栽に利用されてきた落葉高木。果実はジャムやゼリーに加工して食用にします。


カリン・写真1
カリンの花・写真2
カリンの実・写真3

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栽培上のポイント

●直立性で狭い場所でも栽培できるが、枝が裂けやすいため、剪定による樹形づくりが大切。
栽培上の適地

●関東地方以北、中部地方の高地など。
栽培上の難易度

●比較的手間はかからないが、シンクイムシの食害には注意。

カリンの果樹としての特徴

カリンは中国原産で、ペルシャ原産のマルメロと混同されることがありますが、マルメロが果皮の表面に綿毛が密生しているのに対して、カリンは無毛です。

カリンの栽培条件と品種選び

冷涼な気候を好み、リンゴの栽培適地とほぼ重なる地域で栽培できます。暖地では、生育が旺盛になり、その結果、生理落果が多くなる傾向があります。適度に湿気があり、粒子の大きな土(轢質土壌)を好みます。自分の花粉で結実するので、1本だけでも収穫が望めます。

カリンの栽培方法

接ぎ木部分がしっかりとした苗を入手し、12月、あるいは3月に植えつけます。

高さはありますが、樹冠があまり広がらず、比較的コンパクトな樹形になるため、幅4m、奥行き2mほどの場所に植えつけできます。

主枝を2~3本出した「立木仕立て」が一般的です。発生する枝は角度が狭く裂けやすいため、できるだけ新梢の発生角度が広いものを主枝候補として残すようにして、角度の狭いものは基部から除去します。

枝の先端から3芽ほどが長く伸び、それより下のものは短果枝となります。花芽は、短果枝では充実した枝の先端に、長果枝では充実した新梢の基部から中央部につきます。1つの花芽には1つの花がつき、リンゴやナシと同じように、前年の枝に直接なります。徒長ぎみの枝は2分の1ほどを切り返して、短果枝を多くつくります。中・短果枝は先端に花芽がついているので、切らずにそのままにしておきます。樹冠内部が日陰にならないように、混み合った枝を基部から間引きます。

無肥料でも栽培できますが、土がやせてきた場合は、落葉後に化成肥料、配合肥料を施します。

人工授粉で実つきを確実に

自分の花粉で結実するので、人工授粉などの必要はありませんが、筆先で花のなかをくすぐるようにすると、より確実に実をつけます。

着果数が少ないため、摘果の必要はほとんどありませんが、奇形のものや虫害されているものは早めに取り除きます。

結実後、生理落果する6月下旬までに、袋かけをするとよいでしょう。袋かけによって、シンクイムシの食害を減らすことができます。

果実が緑色から黄色に変わり、独特な香りが感じられるようになったら収穫します。収穫は植えつけ後4~5年を目標とします。

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