果樹栽培・ガーデニングの基本

ブドウの育て方・栽培方法

ブドウ科

世界的に栽培され、生食されるだけでなく、ジュースやワインの原料となる果樹です。


ブドウ・写真1
ブドウ・写真2
ブドウの実・写真3

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栽培上のポイント

●つるの生育を観察し、作業の時期や方 法をタイミングよく行う。
栽培上の適地

●全国各地。
栽培上の難易度

●品種によるが、∃-ロッパ系とアメリカ系の交雑種は比較的作りやすい。

ブドウの果樹としての特徴

ブドウには、大別してヨーロッパ系とアメリカ系があります。ヨーロッパ系は房が大きいですが雨に弱く、裂果や病害が発生しやすいのが特徴です。アメリカ系は雨には強いですが、皮が厚く、孤臭とよばれる独特のブドウ臭が強いのが特徴です。日本で現在多く栽培されているのは、ヨーロッパ系とアメリカ系との交雑種で、品質がよく比較的作りやすいです。

新梢の伸び方に注意する

柔軟なつる性で、若い枝に養分を蓄え、前年枝の葉腋の多くに葉芽と花芽を含んだ混合芽ができます。春先にこの芽から新梢が伸びて、その年の実がなります。新梢の勢いが強すぎると落果したり、品質が悪くなったりします。しかし、勢いが弱いと、果房の着果が少なく、果実の肥大も進みません。ブドウの栽培は、新梢の伸び方を注意深く見ながら、剪定や芽かき、摘芯や摘房・摘粒、施肥を適切に行うことが重要です。

ブドウの栽培条件と品種選び

寒さや暑さ、乾燥にも強く、全国で栽培できます。土質はあまり選びませんが、水はけと通気性のよい土壌が最も適しています。多くの品種がありますが、家庭での栽培の容易さから考えると、樹勢が弱~中程度の「デラウエア」「マスカット・ベリー」「ナイアガラ」などが栽培しやすいでしょう。よく知られた「巨峰」「ピオーネ」などは、開花しても受粉・受精が行われずに落花したり、受精後まもなく生長が止まり、小さい幼果が落果したりすることがあり、栽培は容易ではありません。しかし、これらの品種もジベレリン処理を行うことによって、種子のない巨大粒を作ることができます。

ブドウの栽培方法

苗木は冬に出回ります。関東以南では12~2月、関東以北では3月が植えつけの適期です。植えつけ場所はあらかじめ、腐葉土や堆肥を混ぜて、土壌改良しておきます。

日当たりがよく、水はけのよい土の場所に植えつけます。

枝を誘引して自由な樹形に

つる性で、若くやわらかい枝なら自由に動かすことができ、いろいろな仕立て方が可能です。植えつけ場所が5m四方ほど確保できれば、主根を2本左右に出した自然形棚仕立て」ができます。また、奥行きがとれなかったり、南向きのフェンスや壁沿いに作るのなら「垣根仕立て」もでき、2㎡ほどしかスペースがなくても「棒仕立て」にすれば栽培が可能です。

ブドウは、春に伸びる新梢にその年結実します。そのため、冬の間に、樹形を維持するために枝を切りつめ、棚などに誘引しておきます。枝を切る長さは、種類によって多少異なり、樹勢の強い品種(巨峰、ネオマスカット、甲州、デラウエアなど)は、結果母枝に7~10芽残して先を剪定し、樹勢の弱いもの(ナイアガラ、マスカット・ベリーAなど)ほど、短く(2~6芽残して)剪定します。4年目以降は混み合った主枝や亜主枝の先端部分を毎年更新剪定します。亜主枝や側枝のうち、太く長いものについては、その長さの50~60%ほどのところから出る側枝の先で剪定し、毎年若い枝に更新します。剪定し残した結果母枝は、日当たりが悪くならないように、極端に勢いの強い先端の新梢や、弱い芽を芽かさします。

肥えた土地なら5年間は肥料いらず

肥えた土の場所であれば、植えつけから5年ほどは施肥の必要はないでしょう。とくに栄養生長の強い幼木期は、肥料分を抑え、早く生長を落ち着かせるようにしましょう。植えつけ5~6年後くらいから、9月下旬に化成肥料を1㎡あたり50g、12月に同じ肥料を100gほど施すようにします。さらに、毎年1㎡あたり1kgほどの完熟堆肥を土壌表面に施すと効果的です。

房の各粒を大きくするために、また味をよくするために、5月中旬、花の開花直前~開花直後の時期に、ハサミを使って房を切り込み、房作りを行います。作業は、房の先端1cmほどを切り取り、果房の大きな品種、あるいは大きな果房ほど強く切り込みます。また、長さ50cm程度の弱い新梢では3本に1房、1mほどの新梢には2本に1房、2mほどの強い新梢には1本に1房になるように摘房し、房の充実を図ります。

1房につく果粒の数を調整する

満開後、果房を振るようにして、結実が確認できたら、満開から1か月以内に、1房の果粒数を調整します。残す果粒の数は品種によって異なりますが、果房の先端を切り去り、房を10~13段ほどにして、さらに小さな粒を取り除くように摘粒します。

摘粒を行ったあと、黒痘病やおそ腐れ病を防ぐために、底があいた紙袋などで袋かけを行います。

枝になったままで十分に熟し、色づいて香りがよくなったものを収穫します。軸がかたいため、ハサミを使って切り取ります。

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